[蕨]職業体験から商工業者の減少を食い止める

動機

蕨市の総人口(各年4月1日時点の住民基本台帳人口)の推移をみてみると、2016年あたりから増加幅が大きくなり、2022年には75,654人と全国的に人口が減っている中で蕨市は増えています。市全域が概ね平坦で、周辺市の市街地と連続する形で住宅市街地が形成されており、全国の市の中で最も人口密度が高いのが特徴です。
しかし、統計わらび(令和3年版)によると、市外へ通勤・通学で流出する人口が27,497人に対して、蕨市へ通勤・通学で流入する人口が14,977人であり、夜間人口に比べ昼間人口が極端に少ないのが地域としての課題です。
これは、都心まで約20km の埼玉県の中央地域と呼ばれる県南部JR京浜東北線沿線地域に位置し、通勤通学がしやすい環境が整っていることや、事業所の跡地に戸建て住宅やアパートなどが建設されたことがあげられます。そのため、事業所の数は減っています。経済センサス活動調査の調査によると、平成19年度には3048社あった商工業者が令和2年度には2380社と約10年の間に約700社もの商工業者が減っています。
商工業者の創業者の減少、後継者不足に歯止めをかけるため、蕨市で創業している商工業者と蕨市の小中学生とを交流させることにより将来の創業気運の上昇や後継者として良い人材に就職して頂く取り組みを行いたいと思い、今回の職業体験を発案しました。

実施内容

蕨商工会議所青年部では、
① 日中市外に流出している蕨市民に蕨のお店を知っていただくこと。
② 地域の信頼関係や一体感を築くことを目標に蕨の商店や蕨市民が集まるイベント「わらんちゅフェスティバル」を毎年開催しています。

コロナ禍などで 2020 年、2021 年は中止になりましたが、2017 年から毎年開催を行っており、今年で第 6 回を迎えることができました。毎年開催することで少しずつですが、商工業者が見える形になってきていると感じています。
今年のわらんちゅフェスティバル2024では商工業者の創業者の減少、後継者不足に歯止めをかけるため、職業体験のブースを設営しました。蕨市の商工業者と青年部のメリットは他業種が集まっているところです。青年部メンバーに協力してもらい、様々な蕨の業種を集めて蕨市で創業している商工業者と蕨市の小中学生とを交流させることに将来の創業機運の醸成や後継者として良い人材に就職して頂く取り組みを行いたいと思い、職業体験ブースの設置を行いました。

工夫した点

創業機運の醸成や後継者の担い手になって頂くため以下のように工夫しました。

  1. 小学生の低学年が中心の体験イベントであるため、子どもの興味関心があるテーマと分野に絞った体験会にするとともに、企業の魅力が伝わる体験内容とした。
  2. 職業体験を実施する青年部メンバーには、子どもたちに短いに感じてもらうため自分のお店や工場がどの場所にあって、どんな名前の企業であるか、また蕨で仕事することの楽しさを伝えてほしいとリクエストした。
  3. いろいろな職業を体験できるよう、スタンプラリー形式のプログラムを採用した。それにより、1 人 3 つの職業を体験できた。
  4. 仕事のやりがいを感じてもらうためスタンプラリーを完成させた子どもには対価として当日の飲食イベントで使える商品券を配布した。

アンケート結果を踏まえて

今回のイベントの中で、一番楽しかったのが「職業体験」という声を多く頂けました。スタンプカードの企画や各事業所が楽しませる取り組みを行って頂けた結果だと思います。また、今回の職業体験を通じてやりたい仕事を見つけられたという子どもたちが3割もいたことから将来の創業機運の醸成や商工業者の後継者不足に効果があったと思います。創業の減少、後継者不足は企業の存続や地域経済に大きな影響を与えるため、今後も職業体験を通じて蕨市の商工業者の魅力を伝える活動を蕨商工会議所青年部として続けていきたいと考えています。

単会情報

単会名
蕨YEG
主催者名
蕨商工会議所青年部
事業ジャンル
地域貢献
事業名称
職業体験から商工業者の減少を食い止める
開催日時
令和6年9月28日(土)・29日(日)
開催場所

蕨市民公園

単会会員数
(事業開催時)
84人
事業参加会員数
50人
参加率
59%

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